20代から不妊治療をしているシオリとユズオ夫婦のブログです。子宮外妊娠や体外受精などの経験を絵日記風に紹介しています。治療歴はこちらから
手術室へ移動
早足の看護師さんに連れられて病棟の端にある自動ドアを抜けたら、右に【分娩室】左に【NICU】手術室はその隣で、たぶん帝王切開をするところ。赤ちゃんの声は聞こえなかったものの「こんな所で…」と、ちょっと嫌な気持ちになりました。
中に入った瞬間、すごく広くて驚きました。しかも入口にスタッフさんが4人並んでいて、「よろしくお願いします」と頭を下げられました。しっかりしすぎてて、自前パジャマで歩いてる自分が恥ずかしかった…。
手術準備
ベッドに上がったら、まずタオルをかけられて下を脱ぎました。足を固定したら部屋が暗くなり、エコーで赤ちゃんの心拍が間違いなく止まっていることの最終確認。
自分が泣くとしたらここかも、と思っていたんですが、思った以上に冷静でした。もう駄目なのはわかって来てるのに、もしここで微弱な心拍が見えてたら逆に困るじゃん…くらい。
子宮外の手術は、「ここに心拍見えますね。じゃあ取りましょう」だったから、それより何倍もいい。
それよりも、卵黄嚢がめちゃくちゃ巨大化していてびっくりでした。大きい丸に小さな胎芽がくっついてて、本当にダイヤの指輪みたい。
本来は卵黄嚢の栄養を吸って赤ちゃんが大きくなっていくはずが、成長が止まってしまったから卵黄嚢だけ大きくなっていくそうです。
卵黄嚢って最初に空から持ってくるお弁当(食べきりサイズ)だと思ってたんだけど、わんこそばみたいなスタイルなのかもなぁ~とぼんやり思ったり。
何より、ちゃんと赤ちゃんの為に栄養の供給をし続けてくれていたってこと…自分にその機能があったんだってことが、神秘的で感動しました。
点滴
また電気がつくと、一気に周りがバタバタし始めました。心電図や血圧計をつけたり、色々されるがまま寝てるだけの状態。
この時点で、まだ自前のマスクをしたままなことに気付く。あれ?これ、いつ外すんだろ…?
そしていよいよ、点滴の時。準備を始めたのは若い女医さんで、失礼ながらあまり得意そうには見えなかった。それに、さっきの話が伝わってる空気じゃないな…。
改めて自分で伝えようとした時、病室担当の看護師がスッと寄ってきて先生にさっきの件を耳打ち。
わー、ちゃんと覚えててくれてた( ;∀;)良かった。
でもそれを聞いた瞬間…先生の表情が曇りました。
手首は危険だから、本当に本当の最終手段としてしか取ってはいけないという病院の方針なのは採卵の時に聞いた。先生の立場上、何としても腕から取らないと色々マズいんでしょう。
でも自信がない。ってかマジで血管見つからないんだけどどうしよう。
っていうのがめちゃくちゃ顔に出て目が泳いでる先生。
で、こうしてる間に下半身側は既に準備完了。足パッカーンの丸出し状態でライトに照らされてるんです。今の姿が客観的にどう見えるか、想像しただけでかなり恥ずかしい。何で始まる時までタオルかけといてくれないのかなー…。
ずっと腕を優しくペシペシしながら血管を探っていた先生が、焦った様子で「すみません…ちょっと腕叩きますね…」
パシーン!パシーン!パシーン!
強い強い(笑)
しばらく続くその異様な音に別の男性スタッフが寄ってきて、「ねぇ何やってんの…?」(だるそう)
ちらっと見てすぐ、ここでいけるでしょ、と指差してアドバイス。
わかってるなら、君が代わりにやってくれよ。
男性は横から淡々と指示を出すだけで、先生は不安そうな表情のまま。どう見ても自信ないのに勢いで刺そうとするから、
ひぃーっ!!!!何で代わってあげないのォー!と心の中で絶叫でしたが、しばらく中で動かしたら(痛い)1発で取れました。先生も私も(ほっ…)。
麻酔
無事に点滴の準備が終わったら、さっきの男性が頭の方から顔を出して「ではシオリさん、今から痛み止めのお薬を入れていきますからね~」
あ、この人、麻酔科医(?)だったんだ。ん、でも痛み止めって言ったよな?ってことはまだ麻酔じゃない?別の薬?? てかマスクいつ取るの???
…ぐるぐる考えてたらそのまま酸素マスクを付けられました。
えーっ、まさかのマスクonマスク!?
今のコロナ対策ってこうなんだ…!なかなか衝撃的で緊張も吹き飛びました。
ここまでの治療費総額…¥1,282,590
No.203 その④に続きます。